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ナガハシスミレの長話

 先週末は,とある植物の調査で,ボスらと共に佐渡に渡った。

 ここで佐渡らしい写真をアップできればよいのだが(たとえば佐渡汽船のフェリーなど),なんだかんだいってこれで通算4回目。

 だんだん慣れてくる頃とあってか,植物の他の写真をぜんぜん撮らなくなってしまった。手元にある植物以外の佐渡っぽい写真といえば,1. フェリーから見た新潟市の様子(なぜ撮影したのか),2. 放鳥されたトキを車内から撮影しようとして失敗したボケた車窓の眺め,3. 帰宅後にお土産のふぐのこ粕漬けどぶろくで一杯やるところ,くらいである。自分の性格を考えれば3をアップするのもアリかと思ったが,改めて写真を眺めてみるとどぶろくのバックに某アニメのDVDケースが写っていて恥ずかしいので,やめた。

 さて,冒頭から脱線してしまったのだが,今回はスミレの話である。

 調査2日目,小佐渡の海岸付近の二次林で,よくわからないスミレに出会った。


 薄紫の花,写真ではわからないけど有茎種である。花は大きく色鮮やかで距も長かったので,なかなか見栄えのする株である。可憐…!

※スミレ属は葉や花をつける茎をもつ有茎種と,茎をもたず地面から根出葉と花茎を直接だす無茎種に大別される。

 一見して,突き出た距が特徴のナガハシスミレViola rostrata Purshに見える。僕も,現地では最初そう同定していた。


※距:花の後ろからちょんまげのように突き出ている棒状の器官のこと

 ただ,パッと見で違和感を抱いたのでよく観察していると,典型的なナガハシスミレよりも花が大きく(直径2 cmいかないくらい),また紫色も若干濃い…ような気がする(これも写真ではわかりにくい)。

 どちらかというと,日本海側によく生育しているオオタチツボスミレV. kusanoana Makinoにも似ているのである。

 ただ,一般的なオオタチツボスミレの距はここまで長くならないし,顕著な白色になる(オオタチツボスミレの特徴の一つ)。今回観察した株の距は,うっすら紫色である。それと,オオタチツボスミレはしばしば中型の株になるが,そのような株は見つからず,葉のサイズは総じて小さかった。

 ということで, オオタチツボスミレとナガハシスミレの中間的な形態を示すように見えるのである。

 雑種かと思い,一応周囲を探してはみたものの,タチツボスミレが1株だけ見つかった程度で,オオタチツボスミレもナガハシスミレも見つからなかった。

 なお,調べてみると,オオタチツボスミレとナガハシスミレの雑種は,イワフネタチツボスミレV. kusanoana Makino x V. rostrata Purshというらしい(リンクはYlist)。

 「認識されている雑種なのか。。ただこれっぽいかも!」と思ってググってはみたが、、、確かに似てはいるものの,変異がありそうで(当たり前),写真だけではなかなか確証には至らなそうである。


 身の回りに資料があまりないので,スミレが得意な人に見てもらったほうがよいのは間違いないなあ,と思っているところである。

 …とかいって図鑑に載っている他の種類だったら爆笑そして大恥なので,もしそうだったら教えてください。

なお,本記事のタイトルは本文とはあまり関係なく,タダの激寒ジョークである。本文はできるだけ簡潔になるよう留めた。


*** 以下 観察集団のメモ ***

 生育していたのは小佐渡の海岸付近の二次林で,株数はかなり多かった(数えていない)。5*5 mくらいのパッチが,少なくとも3つはあり,この記事で書いたような形態が,少なくともパッチ内では固定していた(もちろん今回みた集団内でも固定しているように見えた)。周囲には他のスミレ属はほとんどない。20 mほど離れた路傍でタチツボスミレが1株だけ生えていた。確認したのは2018年4月15日。周囲に生えていたのは,トキワイカリソウ,ヒトリシズカ,ヤブジラミ,ヒロハヘビノボラズ,ヒメアオキ,オオミスミソウなど(一部を抜粋)

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